- 「東洋医学」と「西洋医学」ってどんな違いがあるの?
- 自分の症状に合った治療法を選びたい!
体の不調がある時に「どんな治療をすればいいか」「どこに行けばいいか」と、迷う時はありませんか?
医療機関には大きく分けて「東洋医学」と「西洋医学」に基づいた2つの種類があります。
- 「東洋医学」〜鍼灸院、漢方専門薬局、あん摩マッサージ指圧院、整体院、など
- 「西洋医学」〜総合病院、クリニック、救急病院など
鍼灸院や病院の治療方針のもととなっている東洋医学と西洋医学の違いを知らなければ、どこで治療をするか分からず困ってしまいますよね。
今回の記事では「東洋医学と西洋医学の違い」と「症状別の治療法の選び方」を解説。
記事を読むと2つの医学の違いが分かり、自分の症状に合った治療が選べます。
東洋医学での治療は自己免疫力を高めるため、原因がハッキリしない慢性的な症状に効果があります。
西洋医学では急なケガや発熱、感染症などに対して、投薬や手術など即効性のある治療をすることが得意です。
ぜひ記事を読んで自分の症状にあった治療法を選び、体の不調を治す参考にしてくださいね。
東洋医学と西洋医学の違い

東洋医学と西洋医学には、成り立ちの歴史や、病気への考え方、得意とする症状、診断方法、治療法、必要な資格の違いがあります。
東洋医学 | 西洋医学 | |
歴史 | 中国起源。 | ヨーロッパ起源。 |
考え方 | 体全体のバランスを重視。 自己治癒力を高める。 | 病気自体に着目。 原因を直接取り除く。 |
得意な症状 | 原因がハッキリしないものや、 慢性的な症状。 | 急性疾患や感染症。 緊急的な治療。 |
診断方法 | 四診。 (問診・望診・聞診・切診) | 科学的なデータによる診断。 (レントゲン画像診断、血液検査など) |
治療法 | 鍼灸。 あん摩。 漢方薬など。 | 手術。 薬物療法。 放射線治療など。 |
必要な資格 | 鍼灸師(はり師、きゅう師)。 あん摩マッサージ指圧師。 柔道整復師。 | 医師。 看護師。 薬剤師。 |
それぞれの違いについて詳しく解説します。
歴史〜「中国起源」と「ヨーロッパ起源」
東洋医学の始まりは2000年以上前の古代中国です。
石器時代に傷口の膿を出すために使われた石が、鍼(はり)の起源。
熱して治療に使われたヨモギの葉が、灸(きゅう)の起源となっています。
その後、東洋医学の知識は人の行き来を通じて、アジア全般を中心に広がりました。
日本では奈良時代に仏教の教えなどと共に東洋医学も伝わりました。
鍼灸の歴史についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
西洋医学は紀元前4〜5世紀ごろ、ヒポクラテスが病気を迷信的なものから、理性的なものとして捉えたことを起源として誕生しています。
その後15〜16世紀ごろのルネッサンス時期以降、解剖学や科学の発展とともに西洋医学も専門性を高めていきました。
日本に西洋医学の知識が伝わったのは、16世紀ごろのポルトガル人との交流がきっかけ。
その後、江戸時代には杉田玄白が解体新書を翻訳するなど研究が進み、明治時代以降は西洋医学が現代医療の中心となっていきました。
考え方〜「体全体のバランス」と「病気への着目」

東洋医学と西洋医学では、体の不調や病気についての考え方が違います。
東洋医学では人間の体を全体的に見て、体調不良も体全体のバランスが崩れた状態だと捉えます。
そのため体全体のバランスを整え、自然治癒力を高めることで治療を行います。
一方、西洋医学では体調不良を特定の組織や臓器に異常がある状態だと考えます。
病気の原因を特定し、それを除去することで治療をするのが特徴です。
得意な症状〜「慢性的な症状」と「急性疾患」

東洋医学と西洋医学は治療を得意とする症状も違います。
自然治癒力を高める東洋医学は、原因がはっきりしない慢性的な症状に対して力を発揮します。
- 肩こり
- 腰痛
- 冷え性
- 便秘、下痢
- 病気の予防など
体全体のバランスを整えるため、病気にならないよう予防としての効果も期待できるのが特徴です。
西洋医学では、明確に原因が特定できる病気に対して、素早く効果的な対応が可能です。
- 原因が特定できる感染症(インフルエンザなど)
- ケガ(骨折、火傷など)
- 急性期の痛み
- がん、など
薬を使用した治療や直接的な手術で病気の原因を取り除き、スピード感を持った治療が期待できます。
診断方法〜「四診」と「科学的なデータ」

東洋医学では四診と呼ばれる以下の診断を行います。
- 問診(もんしん):症状などを口頭で確認。
- 望診(ぼうしん):姿勢など目に見える情報。
- 聞診(ぶんしん):呼吸の音など、耳で聞こえる情報。
- 切診(せっしん):直接肌に触れて判断する方法。
治療者の知識経験をもとに、目の前の患者に真摯に向き合った診断をするのが特徴です。
鍼灸院での治療の流れはこちらの記事で詳しく解説しています。
西洋医学では、科学的なデータに基づいた診断を行います。
- 各種検査(尿検査や血液検査、心電図検査など)
- 画像での診断(レントゲンやMRI、CTなど)
各検査で得られた数値や画像で客観的な診断をすることで、科学的な根拠に基づいた治療が可能です。
治療法〜「鍼灸や漢方薬」と「手術や薬物療法」

東洋医学では以下の方法で治療を行います。
- 鍼灸
- 漢方薬
- あん摩、など
どの治療法も体の自然治癒力を向上させるのが目的です。
西洋医学での治療法は以下のとおりです。
- 手術
- 薬物療法
- 放射線療法
- 理学療法、作業療法、など
病気自体に直接働きかけて取り除くことを目的としています。
資格〜「鍼灸師」と「医師」

東洋医学と西洋医学の治療を行うには、それぞれ違った資格が必要です。
東洋医学で必要な資格は以下のとおり。
- 鍼灸師(はり師・きゅう師)
- あん摩マッサージ指圧師
- 柔道整復師
鍼灸師は、鍼と灸を使った治療を行うのに必須の資格です。
あん摩マッサージ指圧師は手技(あん摩、マッサージ、指圧)を用いて治療を行います。
柔道整復師は骨折や脱臼、捻挫などの処置を行うことが可能です。
鍼灸師、あん摩マッサージ指圧師、柔道整復師は鍼灸院や整骨院、接骨院などで治療を行っています。
西洋医学の治療を行うのに必要な資格は次のとおりです。
- 医師
- 看護師
- 薬剤師
- 歯科医師、など
特に医師資格は、「病気の診断」や「手術の実施」「薬の処方」など幅広い医療行為を行える資格です。
その他にも「看護師は患者のケア」「薬剤師は薬の調合」「歯科医師は歯科治療」と、さまざまな職種が西洋医学を支えています。
どの資格取得者も医学全般の基礎知識を学んでいます。
東洋医学と西洋医学、どちらか一方だけしか知らないわけではありません。
症状別の選び方

東洋医学と西洋医学は強みが異なるため、症状によって適切な治療法を選ぶことが重要です。
日々の肩こりや腰痛など、慢性的な症状への対応は「東洋医学」が得意とする分野です。
事故などがきっかけの大ケガや、出血や強い痛みを伴う急性的な症状の治療は、原因を究明して適切な処置を迅速に行う「西洋医学」での治療が良いでしょう。
病院で西洋医学的な診断を行った上で原因が分からなかった症状は、東洋医学での治療を併用すると効果が期待できます。
生活習慣病など、緊急の対応と日々の予防的な取り組みが必要な症状については、西洋医学と東洋医学を合わせた「統合医療」が有効です。
鍼灸師も医師も東西医学両方の基礎知識を身につけています。
症状によってどの治療法が良いか迷った時は、資格を持つ専門家に相談してみましょう。
統合医療は東洋医学と西洋医学を融合させた治療法

「統合医療」とは東洋医学と西洋医学を合わせた治療のことです。
東洋医学と西洋医学には、それぞれに違った強みがあるため、どちらか一方だけが正しいわけではありません。
東洋医学は長い歴史の中で経験を積み重ねて発展してきましたが、近年では科学的な根拠に関する研究も進んでいます。
2つの医学はそれぞれの良いところを取り入れながら、日々発展しているため最新の治療情報などをチェックしておくのもオススメです。
治療法に関して不安がある時は、鍼灸師や医師などに相談してみましょう。
まとめ

今回の記事では「東洋医学と西洋医学の違い」と「症状別の選び方」について解説しました。
「東洋医学」の起源は古代中国。体全体のバランスを重視して、自己治癒力を高めるのが目的のため、原因が分からない慢性的な症状に対して力を発揮します。四診をもとにした診断を行い、鍼灸や漢方薬での治療を行います。
「西洋医学」の起源はヨーロッパ。病気自体に着目し原因を直接取り除くため、急性疾患や感染症などの緊急的な治療が得意です。科学的なデータに基づく診断を行い、手術や薬物療法を用いた治療を行います。
「東洋医学」と「西洋医学」にはそれぞれ違った強みがあります。
治療法に迷った時は、鍼灸師や医師などの専門家のアドバイスをもらうことも有効です。
気になる症状がある場合は、鍼灸院や病院に問い合わせてみて下さいね。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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